2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

人生に疲れた9歳が考えたこと

☆9歳、小学3年のとき、私はすでに青息吐息だった。疲れた。とにかく学校だけでも休ませてくれ。いますぐ休むことができないなら、義務教育の間はなんとか我慢するから、そこから先はしばらく休ませてくれ。そうでないとその先どうすればよいのかわからない…

お葬式もお墓も仏壇もぼんさんも

☆私が死んだら適当に焼いて、残った骨はごみとして捨ててもらえればありがたい。 もしもそれが法律上の問題でかなわなければ、手間をとらせて申し訳ないが、骨を粉砕して道路でも空き地でも道ばたでも川でも、とにかくそこらへんに無造作にばらまいてくれれ…

私の5年前

☆あの日あのとき、私はアパアトの7階の自室に一人でいた。まず壁の一部、天井近くから「めりっ」というすごい音がしたかと思うとやがて部屋がゆっくりと揺れ始めた。地震がくると私は必らず波乗りのポオズをする(実際の波乗りは未体験)。経験上これで震度…

東京大空襲と祖父

☆前にも書いたが、祖父は終戦前後の東京で警察官をしていた。私が小さいころから、大きくなっても、晩酌の席では警官になるまえの軍隊での話や警察時代の話を聞くことができた。酔った祖父は同じ話を何度もくりかえし、私はその都度いま初めて聞いたかのよう…

ナンパという不可思議な行為

☆「僕、これから家で晩ごはん作って食べるんですけど、来ませんか?」といかにも真面目そうなひとに真顔で言われた夕暮れ時。一面識もないひとである。突然のことにぽかんとしたがもちろん即座に断った。相手はあっさりひきさがってくれたが、自宅での食事に…

啓蟄といえば

☆啓蟄の日ではなかったが、十年ほど前、冬眠から目覚めたばかりと思われるカエルに出くわしたことがあった。場所は東京S区。日が傾きかけた道端を半開きの目でゆっくりと歩く一匹のカエルがいた。鼻の先からお尻まで12、3cmもあったろうか。私が育った寒い…

菊正ジャンキーの恐怖

☆私がコドモだったころ、菊正宗という日本酒のCMがあった。 ☆おいしそうなお酒とお刺身などを交互に映し「菊正を飲むとうまいものが食べたくなる」「うまいものを食べると菊正が飲みたくなる」と落ち着いた男性のナレーションが入り、「〽︎や〜っぱり〜俺は…

あなたと私の境界線

☆「俺、気持いい=お前、気持いい」という破壊的な誤解がこの世にはある。 ☆そのおかげで、私は性交で汗をかいたことがなかった。相手は海のような大汗をかいているが、私の躯は冷たく、寒いくらいが普通で、それに気づいた相手は不思議がった。早く終らない…