ぢいさんばあさん

祖父の思ひ出

☆今日は祖父の命日にあたる。酒焼けしてはいたが少し低めのいい声はいまでも忘れない。訛りの少ないきれいな話し方をする人だった。 ☆私が生まれてから三ヶ月のあいだ、午後五時に仕事を終えるとそそくさと帰宅し、まだ赤ん坊だった私を一日も休まずお風呂に…

七夕とお盆の思ひ出

☆北海道はほとんどが旧暦で七夕祭りをする。そのすぐあとにお盆がきて、田舎暮らしだったコドモのころは妙に浮かれて過ごしたものだった。 ☆とある七夕には母といっしょに色紙を切ったり貼ったりしてお飾りを作り、庭に立てた柳の枝に飾り付けたものだった。…

百歳

☆今日は母方の祖父の命日である。存命であればちょうど百歳だ。 ☆祖父は酒好きで、働き盛りのころはビール、日本酒、ウィスキーといろいろ飲んだが、晩年はもっぱら大瓶の安いウィスキーを冷たい麦茶で割って晩酌としていた。 深酒をして、お気に入りの若山…

祖母の茶飲み話

☆祖父もだが祖母も喫煙者で、夫婦そろってフィルターのない「しんせい」を吸っていた。祖父母は喫煙することを「煙草をのむ」といい、祖母はよく煙を輪っかにして幼い私を楽しませてくれた。受動喫煙上等であった。 ☆誰か彼かの命日が来るたび仏壇にお菓子な…

こんな夢を見た

☆夜A ◆故郷の小学校を訪ねると高学年用の玄関が図書室になっていた。下駄箱はすべて本棚に置き換えられ、机も椅子もなく床に座って本を閲覧するスタイルだった。 ◆遠くに住む一つ年上の友達・Kちゃんがランドセルを背負ってはるばるやってきた。私は彼にネ…

家系病はオカルトの病(笑)

☆私の母は幼少のころエクソシストのお世話になったことがある。普段は食の細い彼女が、食べても食べても強烈な飢えを感じてひたすら食べ続け、その様子を不審に思った彼女の祖母(つまり私の曾祖母)が知り合いのエクソシストのもとへ連れて行ったのだった。…

祖父の酒飲み夜話

☆下っぱの歩兵として旧満州に入った祖父は、来る日も来る日も背嚢(はいのう)を背負い一日じゅう歩かせられ、足の裏に水ぶくれができるとヨードチンキをしませた糸を針に通し水ぶくれを刺し貫かれる日々に「軍隊は駄目だ。」とつくづく思ったという。 帰国…

東京大空襲と祖父

☆前にも書いたが、祖父は終戦前後の東京で警察官をしていた。私が小さいころから、大きくなっても、晩酌の席では警官になるまえの軍隊での話や警察時代の話を聞くことができた。酔った祖父は同じ話を何度もくりかえし、私はその都度いま初めて聞いたかのよう…

東條英機と布団

☆祖父は終戦前後の何年間かを警視庁の警官として過ごしたひとであった。それだけに一風変ったエピソオドの持ち主で、普段は口数が少ないが酔うと饒舌になり面白い話が聞けるので、私は小さなころからオトナになっても祖父の晩酌に同席するのが大好きだった。…

黄昏どきの黄色

☆15年ほど前に見た、夕刻の大田黒公園のイチョウ並木は忘れられない。時間の流れを遅らすはたらきがあるのかと思うくらい、黄昏どきの黄色は魔法のようにそこだけ明るく見せるのだった。 ☆小さいころ、私は祖父の晩酌に同席する習慣があった。祖父は酔うと機…