百歳

 

☆今日は母方の祖父の命日である。存命であればちょうど百歳だ。

 

☆祖父は酒好きで、働き盛りのころはビール、日本酒、ウィスキーといろいろ飲んだが、晩年はもっぱら大瓶の安いウィスキーを冷たい麦茶で割って晩酌としていた。

深酒をして、お気に入りの若山牧水の歌、「それほどにうまきかとひとの問ひたらば 何と答へむこの酒の味」をときどきうれしそうに諳んじた場面もなつかしい。

 

私の好きなジャックダニエルズやテキイラや赤ワインを持ち込んだらどんな顔をしただろうかと考えることがいまでもある。ソーダ水やトニックウォーターも持ち込んで、二人で乾杯して美味いの不味いのと喋ったら楽しかったかもしれないと思ってしまうのだ。

 

両親は酒嫌いでまったくの下戸だが、孫の私はお酒が好きで、バカみたいに本を読むところも物持ちがいいところも祖父に似ている。卵に目鼻のひな人形のような顔だった祖父とはまったく似ていなかったが、このごろ少し似てきた気がする。

 

☆今夜でなくてもいいからたまには祖父の登場する夢を見たい。