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万引き観光

うだうだ 私事

☆何年か前に見た、非常に嫌な光景の話である。

☆夜、近所の小さなコンビニに入ると、すれちがいに夫婦らしき小柄な年配の男女二人連れが店を出るところだった。見た目からの推測だが、彼らは中国語を話すひとたちに見えた。その夫婦はそれぞれの手に一つずつお菓子か何かの小さな商品を持ち、いかにもいやしいうす笑いを浮かべながら出口に向っていた。そこはレジからは完全に死角になっており、彼らの手にある品物はレジを通していないはずだ。そんな場面を私ひとりが目撃してしまい、しかも何の対処もできず非常に後味のわるい思いをした。

☆この町にも中国語を話す観光客は増えている。以前は団体客ばかりで、見たこともないような原色の無地の洋服をおよそ考えがたい色合わせで上下着用した集団が我がもの顔で歩行者天国の道路をふさぎ、わめくように会話していた。それが最近は、比較的洗練された身なりから推察できるとおり、いかにも経済的に余裕のありそうな、おもに都市部に暮らしているであろう家族連れをよく見かけるようになっており、騒々しいひとたちはいつの間にか消えていた。現在の、中国語を話す観光客と比べれば私たち田舎町の市民のほうが野暮ったいぐらいではないだろうか。

☆日常生活よりもより多くのお金を使わざるを得ないのが観光だ。事情が許すかぎり財布のひもをゆるめるのがよいと思う。逆にいえば、散財できないときは観光するときではない。散財どころか万引きする者はただの犯罪者だ。そういう方々にはぜひ観光しないでもらいたい。

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