はじめに

☆ほんとうは別の形でのブログを計画していたのだが、私がぼんくらなせいで単純な作文ブログにすることにした。それでも晩年のたしなみとして遺言を遺そうと思う。

☆私はまだ本格的な老人ではないが、老年期の始まりを感じている。ごく若いころから常に死を意識していたくせに、うっかり死に損ない、未だにだらしなく生きている始末。音楽、読書、映画、美術に夢中になるうち死に損なってしまったのだ。人間に馬齢を重ねさせてしまう力をもったこれらは非常に危険なものなのかもしれない。なにしろ泥酔して車で単独事故を起こし二十代でさっさと死ぬ予定だったのである。

☆或るバンドで下手な唄を唄っていた二十一、二歳のころ、自主映画の監督・Kちゃんと出会ったことから生まれて初めて友人に恵まれ、ありがたくもことあるごとに集いの席に誘ってもらい、Kちゃんの解説付きでさまざまな映画を鑑賞し、絶対によそでは話せない話題での雑談に次ぐ雑談、隔月の同人誌にまで混ぜてもらい表紙・裏表紙も担当した。花見だハロウィンだクリスマスだと宴も多々あった。

まずい。これでは死ぬ暇がない。しかしあれは素敵に愉快な日々だった。

☆写真を撮りすぎて死に損ない、ライヴハウス・電気猫に通って死に損ない、音楽を作って死に損なった。

ほんとはすぐにでも死んだほうがいいのだが、伴侶を残して軽々しく死ぬわけにもゆかない。これでまた一つ死に損なった。

死に損なったついでに、ブログにいろいろと作文を遺しておこうと思う。